​2018年7月2日ブログを引用 

国交省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」によると、賃貸住宅の借主は、経年劣化や通常損耗による室内の汚損を退去時に負担しなくて良いことになっています。

じゃあ、安心だね!と思ってやり放題やると、後で痛い目に遭う実例が判例で出ました。

 

REITO http://www.retio.or.jp/

 

国交省「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」 http://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/toriku

 

一般の方は「判決の要旨」から、業界関係の方々などは是非全文お読みください。

 

※相変わらず、文字だらけの色気無しブログですみません…

 

 

転載ここから-----

 

◆◇◆ 最近の判例から ◆◇◆

[耐用年数を経過した壁クロスの原状回復費用]

耐用年数を経過する壁クロス張替費用等の原状回復義務はないとした賃借人の主張が否定された事例(東京地判 平28・12・20 ウエストロー・ジャパン)

 

 賃貸アパートを退去した賃借人が賃貸人に敷金返還を求めて提訴した事案において、賃借人は善管注意義務に反して物件を使用し、その使用状態のまま物件を明け渡したと認められ、賃借人には敷金額以上の原状回復費用負担義務があるとして、敷金返還請求が棄却された事例(東京地裁 平成28年12月20日判決 棄却 ウエストロー・ジャパン)

 1 事案の概要

 賃借人Xは、平成19年12月、賃貸人Yからアパートの1室を借り受け、8年間居住後の
平成28年1月8日に本件物件を退去した。

<本件契約の主な概要>

 貸室:40平米

 賃料:105,000円/月

 敷金:105,000円

 Yが、原状回復費用186,015円(税込)及び未払日割家賃28,000円の計214,015円と敷金との差額(不足額)109,015円の支払をXに請求したが、Xは、敷金から控除できる金額は6,902円しかないとして、差額98,098円の敷金返還を求めて本件訴えを提起した。

 

[賃借人Xの主張]

(1)ハウスクリーニング費用は賃貸人が通常負担すべきものであり、本件賃貸借契約において賃借人負担の特約も存在しない。

(2)「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」によれば、壁クロスの耐用年数は6年であり、本件物件明渡しの時点での価値は0円または1円である。

(3)Yが主張する各種傷破れや雑誌の張り付きは存在しないか、通常損耗である。

(4)Y側の都合で退去日が翌月8日に越月したものであり、日割家賃は発生しない。
 

[賃貸人Yの請求内容]

(1)ハウスクリーニング費用48,000円 
Xによる本件物件の使用態様は劣悪で、原状回復に要した費用は20万円相当であり、少なくとも約4分の1に当たる48,000円を負担すべきである。

(2)壁クロス張替費用 計34,637円
居室・トイレに多数の傷破れ・汚れがあり、少なくとも修繕費用の半額を負担すべきである。

(3)床クッション材張替費用 計35,000円
長年放置されて剥がすのが困難な雑誌の張り付きや焼け焦げが広く多数あり、修繕費用の10分の1を負担すべきである。

(4)その他 計54,600円

流し台引出し・浴室ドアの破損による交換代の一部、エアコン残置物撤去費用等

(5)退去日までの未払い日割り家賃 28,000円(1/1~1/8の8日間)

 

2 判決の要旨

 裁判所は、Xには少なくとも敷金額以上の原状回復費用負担義務があると判示して、Xの敷金返還請求を棄却した。

 

(1)ハウスクリーニング費用について

 証拠写真によれば、居室内は著しく汚れが目立ち、Xは賃借人としての善管注意義務に反して本件物件を使用しており、その使用状態のまま本件物件を明け渡したと認められる。
 Xが善管注意義務を尽くしていればハウスクリーニングが必須だったとは解されないところ、新たな賃借人に賃借するためにYとしてはハウスクリーニングを実施せざるを得ず、少なくとも7万円程度の費用がかかることが認められ、ハウスクリーニングの実施によって、Xが善管注意義務を尽くしていた場合よりも良い状態になる部分があり得ること、及び、ワックス仕上げの費用まで含まれていることを考慮しても、上記費用の内4万8000円を原状回復義務の不履行に基づく原状回復費用として認めることは相当である。

⑵ 壁クロス張替費用

 Xは、国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」では、壁クロスの耐用年数は6年とされ、本物件における残存価値は最大で1円であると主張するが、仮に耐用年数を経過していても賃借人が善管注意義務を尽くしていれば、張替えは必須ではなかった。

 当該ガイドラインによっても「経過年数を超えた設備等を含む賃借物件であっても、賃借人は善良な管理者として注意を払って使用する義務を負っていることは言うまでもなく、そのため、経過年数を超えた設備等であっても、修繕等の工事に伴う負担が必要となることがあり得る」とされている。

 台所の壁クロスの張替えには、少なくとも1万7000円程度の費用が掛かり、その半額である8500円を原状回復義務の不履行に基づく原状回復費用として認めることは相当である。

(3)その他の費用

 床の雑誌の張り付きや汚れ、流し台引出しや浴室ドアの破損についても賃借人としての善管注意義務違反が認められ、通常損耗であるとのXの主張は採用できない。ハウスクリーニング及び壁クロスの張替えと同様に、仮にこれらが耐用年数を経過していたとしても、賃借人が善管注意義務を尽くしていれば交換を行う必要はなかったものであり、これらに対する費用総額9万6000円の内、5万2000円を原状回復義務の不履行に基づく原状回復費用として認めることは相当である。

(4)結論

 以上によれば、XはYに対し、原状回復義務の不履行に基づく原状回復費用として少なくとも11万7180円(10万8500円× 1.08)の支払義務を負い、その他の原状回復費用及び日割家賃を検討するまでもなく、Yに本件賃貸借契約の終了に伴う敷金返還義務はない。

 

3 まとめ

 本事案は、室内の壁や床、設備の汚損・破損が著しく、その使用状態のまま物件を明け渡したことが賃借人としての善管注意義務を果たしていなかったと判断された事案です。
原状回復をめぐるトラブルとガイドライン(再改訂版)P12」では、法定耐用年数を基にした経過年数による減価割合の考え方を示す一方で、経過年数を超えた設備等であっても、継続して賃貸住宅の設備等として使用可能な場合があり、このような場合に賃借人が故意・過失により設備等を破損し、使用不能としてしまった場合には、賃貸住宅の設備として本来機能していた状態まで戻す、例えば、賃借人がクロスに故意に行った落書きを消すための費用(工事費や人件費等)などについては、賃借人の負担になることがある」とされています。

 本裁判例はこの点に直接的に言及したものとして実務上の参考になります。


転載ここまで-----

 

以前も転載したことがありますが、何故かレイアウトが崩れきって途方に暮れましたが、今回は楽勝でした。HPの作成方法の何かが変わったのかな?

 

賃貸管理屋(賃貸人含む)とて鬼ではありません、しかも本来8年も住んでくれれば有難いことなのに…
それが訴訟ものになるということは、相当に酷かったのでしょう。

勝てる目算がある程の「汚部屋」だったと、想像がつきます。

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